プロフェッショナルサービスでの人材確保（高いお給料が全てではない）

July 25, 2024

プロフェッショナルサービス業界は、スキル不足の危機に直面しており、企業にとって大きな運用リスクとなっています。Statistaによれば、世界中のプロフェッショナルサービス企業の社員離職率は、2013年の8.3％から2021年には14％に跳ね上がっています 【1】 。これにより、新しい社員の採用やトレーニングにかかる費用が増大し、生産性の低下、士気の低下、そしてクライアントサービスの質の低下が引き起こされています。KPMG UKの人事担当役員は、「今こそ、企業は社員の定着に向けた取り組みを強化すべき時です」と述べています【2】。

コンサルティングやその他のプロフェッショナルサービス企業では、バーンアウト（燃え尽き症候群）が離職の最大の原因であることは周知の事実です。Limeadeが2021年に行った調査では、最近職を変えた米国の1,000人の社員のうち、40％が離職の理由としてバーンアウトを挙げており、プロフェッショナルサービス業界ではその割合が特に高く、52％がバーンアウトを理由に離職したと回答しています【3】。イギリスでも同様の状況で、Deloitteの調査によれば、1,000人のプロフェッショナルのうち52％がバーンアウトを理由に離職し、38％が同じ理由で離職を考えています【4】。柔軟な働き方や健全なワークライフバランスは人材を確保し、定着させるために重要な要素ですが、自己がさらに成長し高められる社風も同じく重要な要素となります。

プロフェッショナルサービスにおける人材確保における重要な要素トップ3（隠れた「第4の要因」も）

我々がThe Dealと共同で実施した調査によれば、プロフェッショナルサービス企業の90％が、過去数年に比べて優秀な人材を引き付けるためにもっと努力する必要があると回答しました。現在、人材を引き付ける最も効果的な要因として挙げられたのは、柔軟な働き方の提供（76％）、健全なワークライフバランスのための福利厚生やインセンティブ（68％）、そして完全なリモートワーク（51％）でした。一方、競争力のある給与は37％と低い順位に留まりました。これは、LinkedInが2022年に実施した調査とも一致しており、ミレニアル世代の70％はキャリア開発や成長のチャンスを提供する企業に留まる傾向が強いと示しています。また、63％がキャリア開発のチャンスのためには、給与が減少しても構わないと答えています【5】。

しかし、隠れた「第4の要因」があります。それは、組織のコア業務を支えるための強力なインフラを構築することです。

強力な管理サポートはどのようにバーンアウトの負担を軽減できるか

経済の不確実性、競争の激化、スキル不足、コストの増大の中で、特に経営コンサルタントや会計事務所は、優秀な人材を引き付け、維持するために創造的でなければなりません。研究によれば、「非コア」サポート機能に投資することで、新しいアソシエイトがより戦略的な活動に時間を割けるようになり、社員の満足度と士気が大幅に向上することが示されています。

カリフォルニア大学とシカゴ大学の共同研究（2021年7月）によると、「管理強度」が高い企業、つまり管理サポート職に従事する社員の割合が高い企業は、社員との関係が良好であり、それが離職率の低下と社員の仕事満足度の向上につながることが分かっています【6】。これはサポートスタッフが全体の社員満足度において重要な役割を果たしていることを示しています。しかし、同じ研究は「管理強度」がコスト面で企業のイノベーションを妨げ、利益を減少させることも示しています。コアチームのための管理サポートに投資する企業は、良い意図でそれを行っていますが、最適な効率で行われていないことが多いです。

専門的な事務サポートやプレゼンテーション、クリエイティブデザインなど、コンサルタントが必要とするビジネスサポート分野に専門知識を持つ外部サービスプロバイダーと提携することで、運用リーダーは効率的にこれらのサービスを提供できる熟練した専門家のプールを活用できます。

良いアウトソーシングには適切な技術も必要

アウトソーシングを通じた管理業務の効率化は、社員の満足度と協力を直接向上させ、バーンアウトを最小限に抑え、離職率を低下させることができます。しかし、優れたアウトソーシングパートナーは、既存のプロセスを分析し、効率のギャップを見つけ、それらを改善して正確さと仕事の納品速度を向上させるための独自の技術をも使用します。ワークフローとデータ分析技術を使用することで、サポートチームの最適なサイズを構築し、需要の変動に応じて効率的にスケールさせることができます。

管理サポート機能を効率的に管理し、最終的にサービスの質とパフォーマンスを向上させるための技術について詳しく知りたい方は、ENGAGEをご覧ください。

【1】Statista Research Department; 2022年8月16日、2013-2021年の世界のプロフェッショナルサービス組織の社員離職率

【2】Accountancy Age; Patricia Cullen; 2021年12月6日、離職危機の中で企業は定着努力を強化する必要がある

【3】Limeade, “The Great Resignation Update: Limeade Employee Care Report,” 2021, https://www.limeade.com/resources/resource-center/limeade-employee-care-report-the-great-resignation-update/

【4】Deloitte UK, “Mental Health and Employers: Refreshing the Case for Investment,” 2021, https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/uk/Documents/consultancy/deloitte-uk-mental-health-and-employers.pdf

【5】LinkedIn’s 2022 Workplace Learning Report: https://learning.linkedin.com/resources/workplace-learning-report-2022

【6】Liang, Lourie, Nekrasov, Xia; 2021年7月25日; 過剰な良いこと？管理サポートスタッフ、社員の離職、イノベーション、および企業のパフォーマンス; カリフォルニア大学アーバイン校およびイリノイ大学シカゴ校